組見本用創作文とは
組見本用創作文『問わずがたりの洋酒外史』は、コチラをご覧ください

 


はじめに

ほんとうに読みやすい文字、訴求力のある書体……文字に秘められたパワーは実際に文章を組んで見なければ正確に評価できません。書体デザインの仕事に携わっている私は、以前から「組んだ状態で書体の出来栄えを判断するための文章」の必要性を感じていました。

しかし、この目的に合う文章はなかなか視野に入ってきません。いっそ文章を自作しようかとも考えましたが、どうせ作るなら本格的なものにしたいと思い、編集想芸ネーブルの佐藤章氏に相談したところ快く協力を約束してくれました。

こうして1989年秋に作業を開始し、年末近くになって完成したのが組見本用創作文『問わずがたりの洋酒外史』です。これは1990年から公開しております。あとの段で述べるような使い道がありますので、もし利用価値を見いだされましたら、ぜひご活用ください。
テキストファイルをダウンロードできるようになりました(1996/12/16)


創作文の用途

基本的なキャラクターをすべて含んでいるこの「組見本用創作文」はデザイナーが書体を設計する際の試し組みに利用すれば、文字のウエイトや字並び等々が細かくチェックでき、より精度の高いフォント開発の支援になると考えております。

また、和文書体のイメージは、通常、ひらがな・カタカナのデザインよって決まるといわれます。その意味で、編集者が適切な書体選定や字間・行間の決定を行なう場合にも効果を発揮すると考えております。

さらに、組版専業者が自社の書体見本帳に応用したり、書体開発会社が新書体の紹介パンフレット等に活用するといった用途のほか、パソコンやワープロでこの文章を入力するにはひと通りのキータッチを要するため、初心者の入力練習にも使えるものと思います。


創作文の構造

組見本用創作文の制作にあたり、タイプラボ〈=書体を作る立場〉と編集想芸ネーブル〈=書体を使う立場〉が意見を出し合って次のような原則を設けました。

1.ひらがな・カタカナの全キャラクターと基本的な句読記号を含むこと
2.さらに、全角と半角の両方の数字を含むこと(数字0〜9は必ず使う。
  ただし、ひとつの字種は全角か半角のどちらかであればよい)
3.記号としての英字(全角)、それに英単語もいくつか含むこと。
  ただし、アルファベットすべてを入れる必要はない
4.組見本用の文章とはいえ、読み物として自立した内容にすること
5.以上の要件を満たしたうえで、できるだけ短い文章にすること

「組見本用創作文」使用キャラクター一覧(漢字は除く)




 注1.数字のキャラクターは、全角のみ、または半角のみで使用したものもあります
 注2.カンマとピリオドは半角で使用しました
 注3.上記キャラクター以外に若干のアルファベット(全角と半角)も含んでいます


創作文4つのバージョン

・基本バージョン
上記の原則に沿って文章づくりを進めた結果、原則5に関して若干の不満は残るものの一応のレベルに達したのがこの創作文です。漢字の使用については何ら制約を設けていないため、これにはJIS第2水準の漢字が含まれております。

・第1水準バージョン
 基本バージョンの文章をベースにしながら、漢字使用をJIS第1水準までに制限したものです。

・常用漢字バージョン
 漢字使用を常用漢字表・人名用漢字の範囲に限定したものです。

・たて書きバージョン
 基本バージョンの漢字用法をそのまま踏襲しながら、タテ組み用にリライトしたものです。


ご利用にあたって

この「組見本用創作文」をご活用いただく場合は、次のことにご留意ください。
1.プライベートな用途、および企業の内部的な用途に使用される場合には、一切制約はありません。
2.創作文そのものを商品化することはできません。
3.対外的な配布を目的にした印刷物等にする場合は……
(1)創作文への加筆・削除など改変はご遠慮ください。
   ただし、冒頭のタイトルと著者名は削除してもかまいません。
(2)本文の部分的な使用も差し支えありません。
(3)できれば……下記のクレジットを入れるようにしてください。

Copyright (C) 1990 by Akira Satoh
[Directed by TYPE-LABO and NAVEL]

(4)そして……完成した印刷物等を〈タイプラボ〉にご提供いただければ幸いです。

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◇タイプラボ
東京都足立区千住曙町40-1-1701 〒120-0023
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 組見本用創作文の作者、編集想芸ネーブルの佐藤章さんは1998年9月7日、
 大腸ガンのため逝去されました。享年48歳でした。
 

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