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1997/01/09〜03/27
提供されるフォントは、Macintosh専用で
●学校にMacintoshが導入されていること。
●学校教育現場での教育的活用のみに使用を限定すること。
●ソフトの違法コピーに対して正しい指導を行っていただくこと。
以上の3つの条件を満たすことで無償提供が受けられます。
教育機関にモノを無償提供し、将来の自社ユーザを育てる。という方法はどんな業界でも行われていますが、デジタルフォントのこんなキャンペーンは初めてだと思います。
視覚デザイン研究所では、文字を通してコンピュータ時代の美意識の向上を追及する一方、低いと言われる日本人の著作権意識の向上にも努めたいと思っており、『著作権意識の芽生えは若者から』という趣旨も込め、この企画をスタートしたそうです。
違法コピーの温床と言われている教育機関。提供対象者を組織・団体ではなく、教諭個人にしたところに苦労が見えます。少しでも生徒や教諭連中の著作権意識の向上に繋がれば嬉しいのですが…。
写真植字機が全盛のころは、写植機メーカーが競ってデザイン専門の学校などに機械と書体を提供していました。やはり初めて経験したモノから受ける印象は、その後かなり影響すると思われるので、他所のフォントメーカーも似たようなことを始めるかもしれません…それにしても Macintosh が導入されている中・高校で上記の条件を満たせる教諭が1000人もいるのでしょうか?
このコンテストは、デジタル印刷機の使い方や表現を広げていくことを目的に、日本アグファ・ゲバルトが、ワイアード(WIRED)という雑誌の協力を得て開催したもので、募集テーマはデジタル印刷機の「あっと驚く使い方や表現のアイデア」。応募形式は自由、実現不可能なことでも将来の可能性があれば構わないという事でした。
私が最初に思いついたのは、イラストや数字を自分の好みで選びオリジナルのカレンダーやトランプカードなどを少部数作るシステム……だったのですが、誰もが考えそうで面白くなかったので、普段感じている出版関係への不満をぶつけてみることにしました。
インターネットWEBページなどから得る情報への不満、通常の印刷出版物の流通などに起因する不満などを解決し、ごく一般の人達がそれらの情報を快適に利用できるようにしたいと考え、新しいデジタル技術と長年親しんできた印刷出版物、両者の長所を融合した以下の提案ができあがりました。
「こうならなければイケナイ!」
常に最新の情報と自由なテーマが選べる個人注文出版システム
内容は3/21発売のワイアード(WIRED)5月号に掲載される予定ですが、どんな体裁で発表されるかは私自身も判りません(この雑誌は結構ムズカシくて私にはついていけないことがある)。時間と興味のある方は、ご笑覧ください…。
イラストなどで説明した見映えのするアイデアが数点掲載されているだけだ。しかも協力ワイアードということで本文ページで扱うのかと思っていたら広告ページだ…ワイアードは審査に協力しただけか〜。という訳でこちらに急遽掲載することにしました(03/21)。
このコンテストへの出品体裁は自由だったので文章だけで応募しました。テーマも書体デザインと直接は関係ないのですが、これも私の創作活動のひとつだと理解していただければ幸いです。
私は「あさがを」を流行物としてデザインした気はないし、10年後でも50年後でも通用する書体だと思っている。最近随分使われるようになったリョービのナウMU(水井正デザイン)が写植書体として発表されたのは1981年。良くできた書体だと思うが、ここまで浸透するのには16年も掛かっている。
逆に1974年発売の写研のスーボ(鈴木勉デザイン)などは、当時デザイン書体が極度に少なかった事もあって発売直後から大流行した。ブームが終わった今ではスーボは時代遅れだと感じている人もいるようだが、いま見てもとても魅力的な書体だと思う。
書体に流行廃りがあるのは確かだが、それは自分で書体を決定できない中途半端なデザイナー(特に新しい書体の使い方がわからない)が、著名なデザイナーの使用例などをマネすることから始まったりする。そして皆が使いだし飽きられてブームが終われば、また違う新鮮な書体を探す。そんな使い捨て感覚で書体を扱って欲しくはない…。
どんな書体にも、人間のように個性があり魅力があるのだ(安易なマネ書体には無いけどね)。書体を使うデザイナーは、その辺を良く見極めて適材適所に利用してくれると嬉しい。
また、たとえ書体デザインデータが出来上がったとしても製品として発売されるまでには、進化するOSやアプリケーションとの相性テストなどが繰り返され、更に商戦時期などを考慮し時間が過ぎる。
私の最近の例だと、キヤノンからFontGallery
Deluxe
CD
2 という商品納められている、Windows用TrueTypeのかな書体はデータを渡してから発売まで1年以上かかったし、今年の5月にフォントワークスから発売予定のかな書体「えれがんと」「NTLG」などは1年半以上前に私の仕事は終わっているのだ。
すでに存在する書体をトレースしてフォント化するのなら、いくらでも早く制作する方法はあると思うが、まだ誰も見たこともない新しい書体を7000字以上デザインするのには、どうしても2〜3年はかかるし、その後の製品化作業の時間などを含めて5年後ぐらいに使えるようになると言っているのだが…。何しろ未だにコンテスト主催者との話し合いも始まってはいないのだ…。
そんなに沢山の書体は必要ない!と言う人もいるが、より多くの書体の中から自分の使いたいモノを選べる世界の方が豊かだと思う。
良い書体・悪い書体と分けて、悪い書体を排他しようと考える人達もいるようだが、とても狭い考え方だと思う。自分が気にいらない書体は無視すれば良いだけの事なのだから…。
いつも言っていることだが、書体は嗜好品だ。万人に好まれる書体などありえないし、書体に対する感じ方も千差万別だ。それは食品や音楽の嗜好にとてもよく似ていて、自分の嗜好が他人と共有できることもあるし、全く理解されないこともある。
他人から聞いた情報で選択が左右される人もいれば、自分の好みをしっかり主張できる人もいる。
工場で生産管理されたスキのないモノよりも、ひとりの人間が作った味わいのあるモノに惹かれる場合もあるのだ(私が書体を一人でデザインしている理由)。
書店へ本を買いに行った時のことを思い出して欲しい。子供から老人まで・男も女も・スケベなものから理解不能な高尚なものまで…上品な本も下品な本も並べられている筈だ。その中から自由に自分に必要なものを選べる。これはCDやビデオの販売店へ行っても、食料品店へいっても同じ事だと思う。書体の世界もそのぐらい自由に商品を選べるようになって欲しい。
堅い書体、柔らかい書体、まじめな書体、ふざけた書体…デザインの可能性はいくらでもあるので、新書体は永久に作り続けられるだろう(ビジネスとして成立するかどうかは別として…)。
書体が沢山ありすぎて選択に困り、何か良い書体を教えて…と人に聞く人もいるが、そんなもの自分で決めろ!と言いたい。
あなたは自分が着る洋服を人に決めて貰うのか? どの本を買うか人に決めて貰うのか? アマチュアならそれらを選択するのが楽しみのひとつなのだから、それを他人に任せてどうするのだ。プロならば、普段から自分の目と感覚で各書体の醸し出す雰囲気を憶えておき、目的に合った書体ぐらい自分で判断しなさい! そういう事を適切に判断し決定するのがデザイナーの仕事なのだから…。
タイポグラフィ関係の団体では先輩格のJTA(日本タイポグラフィ協会)が、1964年の設立当初は日本レタリングデザイナー協会と名乗っていたように、文字をデザインする人達を中心に会員を構成しているのとは対象的に、こちらのTDCは文字を使ってデザインする人達が中心のようだ。
最近の年鑑ではJTAもTDCも似たような内容で明確な区別はしにくいし、重複する作品が掲載されていて購入を迷うことが多い。文字を使ったデザイン作品は、他のデザイン年鑑で幾らでも見られるので、老舗のJTA年鑑などはもっと文字デザイン(ロゴ、シンボル、タイプフェイスなど)重視の内容にしたほうが差別化できる気がするのだが…。
<受賞作品>
会員部門金賞:
立花文穂
Fumio
Tachibana
角川書店『月カド詩人タイトル』 小型グラフィック作品
会員部門銀賞:
葛西薫
Kaoru
Kasai
藤井保写真集『ESUMI』 ポスター作品
会員部門銅賞:
仲條正義
Masayoshi
Nakajo
ザ・ギンザ『タクティクスデザイン』 ポスター作品
一般部門金賞:
前田ジョン
John
Maeda(USA)
The
10
Morisawa
Posters ポスター作品
一般部門銀賞:
トリスタン・プラニーコ
Tristan
Pranyko(Germany)
Sabotage『Silver
Cloud』 ロゴ&雑誌広告作品
一般部門銅賞:
アレシュ・ナイベルト
Ales
Najbrt(Czech
Republic)
『RAVT』 パッケージ&エディトリアル作品
<レクチャー&ワークショップ>
●Part
-1.<書の宇宙-その楽しさ、深さ、むずかしさ>
日時:
3月
5日(水)3:00〜4:30pm
講師:石川九楊(書家)
●Part
-2.<TDC
Next
Phase-TDCが発足するWeb研究会など今後の活動>
日時:3月18日(火)6:30〜8:00pm
講師:浅葉克己、江並直美、タナカノリユキ、仲條正義、松本弦人
●Part
-3.<アジアの未来-アジアの文字世界の深さとコンピュータとの融合>
日時:
3月22日(土)3:00〜5:30pm
講師:アン・サン・ス(韓国/タイポグラファー)、ラグナート・クリシュナ・ジョ
ーシ(インド/タイポグラファー)
●Part
-4.<Digital
Type
Live-参加者の書き文字で日本語フォント作りを試みる
ワークショップ>
日時:3月26日(水)6:00〜8:00pm
講師:前田ジョン(MITメディアラボ助教授)
*会場:
Part
-1 ワシントンアート/中央区銀座5-7-7銀座ワシントン7F
Part
-2〜4.
DNP銀座ビル5F会議室/中央区銀座7-7-2
*参加ご希望の方は、ギンザ・グラフィック・ギャラリー宛お申し込みください。
受付TEL.03(3571)5206 入場無料 各先着70名様
東京TDC展
1997/03/05〜27 日曜・祝祭日は休館
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ひと昔前は、書体デザインをすべて手描きで紙の上に完成させていた。ハッピーというかな書体などは、モリサワの漢字書体に合わせるため
10種以上制作し、最終的には8種類のウエイトを写植文字盤にした。
使われなかったウエイトは太さがうまく漢字と合わなかったからである。
手で描いた時はうまく漢字と太さが合っているように見えても、その文字が1文字約5ミリのフィルムに写真技術で縮小され、再度写真技術で複製される写真植字機のシステムを経て色々なサイズで漢字と組まれると、太さが合って見えないこともあるのだ。そんな時はかな書体の原字をわずかに細く、または太く修正したものを再度作リ直すのだ。
いま考えると随分大変な作業をやっていたものだ。
現在私は、すべてのタイプフェイス・デザインをコンピュータを使って制作しているが、その時の大変な作業を少しでも能率良くしたいからだ。
1文字ごとのデザインは、手描きでもMACでも作業能率にそれほど差が出ないが、ウエイト・ファミリーの作成はコンピュータの力を借りたほうが、さまざまなシュミレーションが可能になり能率が上がる。といっても手描きのときと違って、準備にとても時間が掛かったり、それなりの違う苦労はあるわけだが…。
私がたった一人で、自分のかな書体をさまざまな会社の漢字書体に大きさと太さを合わせて提供できるのも、コンピュータとソフトウエアの力を借りているからである。Macintoshとプログラマに感謝!
マック仕事人
(21人のアーティストたち)
タキ・オノ 遠藤明 矢野モモ 久納ヒロシ 佐藤豊 杉山久仁彦 伊藤桂司 谷口広樹 谷田一郎 駄場寛 駄場真弓 鳥居信景 仲雷太 中川憲造 成澤正信 早瀬和宏 進む原田&プラクシス ロス・ミクブライド 遊佐光明 よぐちたかお 吉井宏
発行 グラフィック社
電話 03-3263-4318
定価 3800円
この本はフルDTPで制作されたのだが、昨年の6月に入稿したのに出来上がったのは今年の2月である。
DTPだから比較的短期間で完成するかと思ったのだが、21人の原稿データがなかなか揃わなかったり、印刷が海外だったり(刷りと製本だけ海外かと思っていたらフィルム出力まで…シンガポール!)の事情で遅れてしまったようだ。
昨年「新潮文庫の100冊」というCD-ROMが話題になったが、その中の文字表示に秀英体書体が使われていた。このCD-ROMをきっかけに商品化の話しが進んだと思われるのだが、TrueTypeフォントになったからといって個人がその秀英体フォントのみを購入できるわけではなく、電子出版用フォントとしてマルチメディアCD-ROMパッケージ専門にライセンスするだけらしい(ライセンスの開始は4月から)。
いまのところ店頭などで秀英体フォントを購入できる可能性はない。またPS
フォント化の計画もないようなので印刷業界でも有効には使えない。
秀英細明朝、秀英中明朝、秀英太明朝、
秀英細ゴシック、秀英中ゴシック、秀英太ゴシックとファミリー化もされており、補助漢字などもカバーされているらしいのに、とても残念なことです。
秀英体についての大日本印刷の情報はこちらへ
緊急追加情報(02/19)
本日から22日まで開かれるマックワールドエキスポの会場で、ボイジャージャパンは、「秀英体TrueTypeフォント(秀英太明朝一式)」を収録した『エキスパンドブック読書キット』を特別販売する。
対応機種: Windows
& Macintosh
メディア: CD-ROM
標準小売価格: 2,800円(税別)
前述の「新潮文庫の100冊」にも秀英体TrueTypeフォントは含まれていたが、今回のCD-ROMはすごい低価格だ。他の目的に自由に使えるのか、仕様・権利関係とも私は関知しないが、エキスポ終了後も一般市場にぜひ流通させて欲しい。
しかしこの文字は、濁音や半濁音を表すのに清音で半角、濁点でも半角分のスペースを使用する不自然な文字組みになり、美しくもないのでデザイン・印刷業界では普通は使いません。
限られたスペースにより多く文字を入れたいときなどに、つい使用してしまうらしいのですが、前述のように美しくありませんし、普通の「アメリカ」と
半角の「アメリカ」では単語を検索しても全く違う扱いになり、入力したテキストがデータベースとして役にたちませんので使用は避けるべきでしょう。
もちろんインターネットのように、相手がどんな環境かわからない世界でこの半角カナ文字を使用するのは迷惑なだけです(この件に関しての詳しい情報はこちら)。
ジャガバタ
これが↑半角カタカナ(うまく表示されないかもしれません)
ジャガバタ
これが↑通常のカタカナ
?¬???
↑ポストスクリプトフォントに収容されているが…画面表示できない
これからも、あまり使って欲しくない半角カタカナ文字ですが、実は濁音がきれいに半角内にデザインされた文字も書体内に用意してあるのです。上の大きなサイズの文字をコピーしてPSプリンタでPSフォントを指定してプリントしてみてください。濁点の後が空いていないきれいな半角文字が出力できる筈です!(PSプリンタのない人、うまく画面表示されていない場合はこのサンプルを)
これらの文字にはパソコンの日本語辞書が普通は対応していないので、残念ながら使用できません(区点の10区ですが…)。
書体デザイナーはこれらの通常は目にすることのない無駄とも思われる文字も数多くデザインしています。
明朝系11、ゴシック系13のウエイト、計24書体で製品は構成されており、その中からユーザが所有している明朝・ゴシック書体に太さが合うウエイトのタイポス書体を選んで使用するようです。
この方法で、ユーザが使用している漢字書体に太さと大きさをぴったり合わせることが可能なのか少し不安が感じられますが…。
以下のデータはエヌフォー・メディア研究所の萩野生政さんから送られてきたものです(サンプルも)。
書体デザイン:有限会社グループタイポ
開発・販売 :有限会社エヌフォー・メディア研究所
順調にいけば、2/5〜2/7に池袋で開かれるPAGE'97の会場で印字サンプルを配布できるそうで、発売は春頃になるようです。
タイポスファンとって嬉しいニュースなのですが、私の書体が過去に、この会社にヒドイことをされたニガイ経験があり、手放しで喜べないのが残念!とても複雑な心境です。
毛筆スタイルでデザインされた24種の見出し用書体が「ひらがな・カタカナ」と「英字」の2つのCD-ROMに分けて製品化されています。
残念ながら、この製品もまともにフォント化されておらず、1文字づつのコピー&ペーストで使用しなければなりません。
この24種の書体は、宣伝用のチラシには表記してありませんが、殆どがマール社から出版されている「ひらがなカタカナ21書体」(古川貢・佐伯勉・田中弘幸共著2500円)に収録されているものです。
ですからこれらの書体デザインをしっかりと確認したい時や、パソコン以外で利用したいときは、そちらの本(複写使用権付)を購入すれば良いわけです。このようにいくつかの方法で同一の書体が使用できるのが理想なのですが、現実にはなかなか難しい問題です。
活字・写植・インスタントレタリング・デジタルフォント・複写使用権付書籍・など書体製品は色々ありますが、上記すべての方式で製品化されている和文書体は存在しません。私のかな書体なども最高3種の方式でしか製品化されていません。
これからは活字・写植・インスタントレタリングなどで新書体が製品化されることは稀なことになり、たぶん新書体はデジタル方式でしか発表されない時代になるのでしょう。
私自身は、1つの方式でしか書体が利用できないのは寂しく、せめて複写使用権付書籍ぐらいは存続していって欲しいのですが…。
「カリグラフィ/ひらがな・カタカナVol.1」は24書体/4608文字
「カリグラフィ/英字Vol.1」は24書体/1896文字
各6900円(Mac
& Win)
発売 PART
ONE
CO.,
LTD.
東京都新宿区西早稲田3-30-16 HORIZON・1 8F
03-3205-8909
モリサワの書体がアドビ純正の出力機に搭載された頃から「写研書体もそろそろ○○○から発売されるらしいよ」なんて根も葉もないウワサがこれまで何度流れたことか。
そんな事ある訳ない、と思いながらも10%ぐらいは可能性を信じていたが、もうここまでDTPフォント業界が成長してしまったら、写研は参入してこないだろう。
しかし、どうしても写研の書体を使用しなければならない仕事もあるし、その書体でしか表現できないデザインもある。そんな時は、しかたなくに写植業者に発注し、出来上がった印画紙をスキャンし、何らかのデジタルデータに作り変えなければならない。とても手間がかかり、DTPなんてモノから逃げたくなってしまう作業だ。
そんな悲しい作業を少しだけマシにしてくれるサービスがある。
写研・モリサワ・リョービの550書体を、受注から3時間で世界中どこでも届ける(当然E-Mailで)株式会社シンカのQQサービスだ。
印画紙に出力した文字を「FontCamera」というソフトウェアでIllustratorデータに変換しているということだが、サンプルデータをダウンロードしてみた限り、普通に使用するには特に問題もなさそうだ。
拡大すると角や線の交差している部分が若干丸まっており、普通に写植機で印画紙に印字したような感じにアウトライン化されている。忠実にデザインは再現されてはいるが、ポイントの数がかなり多いので、このデータを利用しての3D文字などを作るとき、少し問題が出るかも知れない。
興味のある方はサンプルをダウンロードして、確かめてください。
(なぜか本日まで、指定のサンプルはダウンロードできず、慣用句ライブラリーの「お正月の言葉」の中から試したのだが)
原稿は電話、ファックス、完全指定原稿で。
実際の受注は登録制ですので、092-531-1212
で登録をしてからになるようです。
株式会社 シンカ
(QQサービス)
〒810
福岡市中央区高砂1-24-26 C-WEDGEビル8F
PHONE:092-531-1212 FACSIMILE:092-531-1771
TooNET:092-533-3197 BBS:092-531-2881
E-mail:shinka@mars.dtinet.or.jp
最近、福袋の様にフォントが販売されている。20〜30書体をCD
- ROMに詰め込んで「お買い得ですよ」と1〜2万円前後の価格で客の目を引く。パソコンショップなどに別のモノを求めて来たのに、この値段なら買っておいても損はないだろうと、つい値段に惑わされフォントを購入してしまう。
もちろんそのCD-ROMに、自分の使いたい書体が2〜3書体含まれていれば最高なのだが、世の中そんなに甘くはない。なかなか自分が使いたいフォントは含まれていないのが現実だ。
それらのフォントCD-ROMの中身は、大量に安く廉価で販売することを目的に短期間で開発された書体ばかりで、現実に使いだすと不満が現われてくる。
アマチュア用だという言い方もあるし、廉価で販売するのを咎める気は無いのだが、そんな廉価販売競争の行く末に少し不安を感じている。
私もフォント販売会社を通して自分の書体を売っているわけだが、プロ用の高額なPSフォントとアマチュア用の廉価なTrueTypeフォントが1書体売れた時のロイヤリティを比較すると150:1ぐらいの差がある(私の場合だが)。
価格が安くても沢山売れるなら…と契約はしてみたものの、廉価なフォントが150倍売れてくれる訳ではない…。
販売する側は、CD-ROMにいくらフォントを詰め込んでもそれなりに売り上げが得られるが、書体を提供している側が得るロイヤリティは収容フォント数が増えても販売価格が変わらなければ、その分逆に減っていく。
フォント製造販売会社がオリジナルデザインから製品まで一貫して社内で制作していれば別に問題はないのだが、私のようにオリジナルデザインで生計をたてている者には結構ツライ。
多分これからも廉価販売競争が続くと思われるフォント業界だが、私としては廉価競争にはついていけそうもないので新たな契約はなるべく控え、これからは、必要なフォントをひとつずつ確実に購入してくれるプロ用のPSフォント販売会社との契約に重点をおこう、と年の初めに考えている。