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どんなソフトを使ってフォントを作成しているのですか? という質問が、ときどき寄せられます。
フォントを集めたり、適材適所に工夫して使い分けたりしているうちに、いつか自分でもフォントを作りたくなるのかもしれませんね。
ギターを手に入れて弾いて楽しんでいるうちに、自分のオリジナル曲を作りたくなってくるのと同じような気持ちなのでしょうか。
フォント制作専門の会社では、数百万円もするソフトや、特別にあつらえたソフトを使用しているようですが、世の中には入手しやすく、しかも低価格で日本語のフォントが作れるソフトが存在します。
そんな便利なソフトをいろいろ提供してくれている武蔵システムの、フォント作成ソフトやサービスのなかから、いくつか紹介したいと思います。
●TTEdit(Windows 95、98、Me、NT4.0、2000、XPで動作)
日本語TrueTypeフォントを作成できる(もちろん欧文フォントも)ソフトウエアです。試用期間は30日間で、それ以降も使用する場合は5,000円送金する必要があります。
30日も試せば、このソフトが自分に必要かどうかの判断は充分できると思います。
最大14,963文字の日本語フォントが作成可能で、5,000円という価格が素晴らしいですね。
以下のようなフォントも作成できます。
・ビットマップフォント付TrueTypeフォント
・外字領域付TrueTypeフォントv
・シフトJISコードベースTrueTypeフォント
・全Unicode TrueTypeフォント
・CJK統合漢字拡張B TrueTypeフォント
●手書きフォントメーカー(Windows 95、98、Me、NT4.0、2000、XPで動作)
マウスやペンタブレットを使って、フォント用の文字を描く無料のツールです。
数年前から急に増えだしたフリーの手書きフォントの殆どは、このツールとTTEditを使用して作られていると思います。
フォント作成手順を詳しく解説した「手書きフォントを作ろう!」というCD-ROMつきの書籍が昨年3月に発行されています。この本は、TTEditの教本としても役にたちそうです。
●OTEdit(Windows 95、98、Me、NT4.0、2000、XPで動作)
日本語OpenTypeフォントを作成するソフトウエアです。TTEditと同じように試用期間は30日、それ以降は5,000円。
●OTRollup(Mac OS X 10.2以降で動作)
Fontographerで作成したType1フォントから日本語OpenTypeフォントを作成するソフトウエアです。5,000円。
●手書きフォント作成サービス
自分でフォントファイルを作るのは面倒でイヤだけれど、どうしても自分の文字をフォントにしてみたい…。そんな人のためにあるのが、このサービスです。
専用紙にあなたが書いた文字を、武蔵システムがフォントにしてくれます。
JIS第一・第二水準漢字、IBM拡張文字、ひらがな、カタカナ、記号、半角英数字、半角カタカナの計 7,459文字のフォントを、15,400円(税込み)で作成してくれます。
もちろん、ひらがなカタカナだけのフォントでも作ってくれます(この場合は3,400円)。
●無料毛筆フォント
武蔵システムでは、いくつかのフォント製品を販売していますが、書家の青柳衡山氏が作成した毛筆フォント「青柳衡山フォント2」は、無料でダウンロードできます。
武蔵システム
http://musashi.or.tv/
「手書きフォントを作ろう!」九天社 著者 佐藤芳治 2,310 円(税込)
TTEditを使ったフォント作成の手順が、初心者にも判るよう丁寧に解説されています。
http://www.9-ten.co.jp/bookdata/tegakifont.php
2002年、ある小学校の六年生全員が、自分の手で1200余りの文字を描き、その文字がそのままフォント化されました。32人分のパソコン用日本語フォントが作られたのです。
完成したフォントは、学内のホームページ作成や卒業文集などに効果的に使われたそうです。
この計画を発案し全面サポートをした「白舟書体」の丸岡雅憲さんに、いろいろとお聞きしました。
学内での制作工程や、32人それぞれのフォントは、WEBでじっくりご覧ください。
●クラス全員フォント化計画の動機は…
最初に思いついたのは、「教育漢字」という括りで漢字の文字数を制限したフリーフォントを公開した時ですね。
「そういう事をしたら面白そうだなあ」とか、「そういう事するのがいろんな意味で本当だなあ」って思っていました。
直接の動機は、その年の6年生のクラスの担任の先生が、たまたま私の同級生だったことですね。
それと、元々小さな学校なんですが、その年はたまたま6年生が1クラスで32人しかいなかった事もあります(これ以上多ければやってません(^^;)。
●32人、全員が1200の文字を描いたんですか(できない子はいなかった?)
「制作過程」にもありますように、1〜2人遅れた子供はいましたが、全員出来ましたよ。
宿題や授業の1つとして文字を書いたのではなくて、朝のホームルームの短い時間に少しずつ約2ヶ月かけて書いた事も、全員が出来た原因でしょうね。
なかには、家でも一生懸命やって早く出来上がった子供も何人かいたそうですよ。
●どんな用紙に、どんな筆記具を使ったのでしょうか
後のフォント化作業が効率的に行えるように、専用の用紙をこちらで作り、プリンターで印刷しました。筆記用具は子供が好きなもので書いてもらいました。
文字の濃さや太さが個人によってバラバラなんですが、それがまたその子を表していていいところなんだと思います。ですから規制していません。
・・・と言いつつ、中には2Hの鉛筆で書いたり、修正ペン・修正テープを使ったりした子供もいて、後が大変でした(^^;)。
●文字の描き方などの指導はされましたか
専用用紙の枠にかからないように書いてほしいという以外、ウチからは特別な指導はしていません。
担任の先生が実際にどう言ったかはわかりませんが、多分自分の普段の字を丁寧に書きなさい・・・というような指導ではなかったかと思います。
●フォントファイルを作成するソフトウエアは、何を使いましたか?
「Fontographer」と「漢字エディットキット」です。あとウチ独自のソフトウェアも使用しています。
●白舟書体さんで通常行っているフォント化作業と、子供たちの文字のフォント化作業で、何か違いを感じましたか
このような手書き字母を使ったフォント以外のどんなフォントでも全て手作りで、フォントはこうやって作られているんですよ・・・・って教える為にも、この計画があるわけですから、基本的にフォント化作業に違いはありませんね。
ですが、当然ウチでは売るもの(売るに値するもの)を作っているのですから、作業の手間の数は違うと言えば違いますね。
●一度に32ものフォントを作る…、普段はこういう作業はしないですよね?
しませんね。ですが基本的にウチでフォントを作るのは「兎に角やってみる主義」ですので効率良く短期間で作る作業というか技術は持っています。
●自分の文字で組まれたプリントを見る子供たち、そのフォントをワープロソフトで使う子供たち、彼らは何を感じ、体験したと思いますか
彼らの感想を読んで、その中から感じ取って頂ければと思います。
●途中で何か問題とか発生しませんでしたか
フォント化作業での小さな問題はいろいろありましたが、大した問題はありませんでした、全体としてはうまく行ったと思います。
子供達が文字を書くのに、専用用紙の枠内に文字を収めることが出来ない子が結構いたって事ぐらいでしょうか。
●この計画が終了したときに丸岡さんが感じたことを教えてください
もちろん子供達だけでなく先生や父兄の方にも喜んで頂き、やってよかったと思いました。
しかし、こういう事業は毎年やってこそ価値があるのだと思いますが、私にも担任の先生にも、そのガッツがなくて、この1回のみで終わってしまいました。モウシワケアリマセン
漢字の書写の学習の為にも、IT教育の為にも(何か相反するところもありますが)こういう事業は本来、文部科学省がやるべき事ですね(^^;)。
●どうもありがとうございました。
白舟書体さんの「デザイン筆文字シリーズ」も大変興味深く、また日を改めてお聞きするつもりでいますので、よろしくお願いいたします。
●白舟書体
http://www.hakusyu.com/
●ぼくらのフォント
http://www.hakusyu.com/bokura/
●Fontographer(日本語版)Mac用のみ
http://www.macromedia.com/jp/software/fontographer/
●Fontographer(英語版)Mac用・Win用
http://www.macromedia.com/software/fontographer/
●漢字エディットキット
http://www.enfour.co.jp/media/
昨年の7月から頒布されているセプテンバーの仲間が増えた。ちょっと太くなった「セプテンバーM」だ(サンプル)。
Lは、繊細でそれなりにキレイなのだが…、メールを読んだりWEBを閲覧するのには、チョット細くて見にくいと感じることもあった。
郵便物の宛名などにLを使用すると、配達担当者には細くて見にくいのではないか…と心配するぐらいに。
もう少し太くするための開発を始めてから約1年。
セプテンバーMは、手描き風の味わいを残しながら、使いやすい太さで完成したようだ。
Lでは細すぎて使いにくいと感じていた人は、一度セプテンバーMを試してみるといいだろう。
いままでと同じように、字数制限された無料版と字数制限の無い商品版が用意されている。
●タイプラボ
http://www.type-labo.jp/
●セプテンバー無料頒布
http://www.type-labo.jp/Hanpuseptwaku.html
その立野氏に、お話しをうかがった。
【今回受賞した書体に関して】
●今回受賞された書体デザインの経緯や特徴を教えてください。
この書体はパッケージデザインの仕事で作ったロゴタイプが基になっています。
コンディショナーが最初から入っているシャンプーでその製品名のイメージか ら発想して2本の Swash Italic ※を重ねたロゴタイプを作りました。
特徴のはっきりした書体なので、特定のいくつかのジャンルで効果的に使用で きると思います。
例をあげると
Nature 系:花、植物関係のもの
音楽関係のもの:クラシック音楽など
レストラン関係:ワインリスト、メニュー、
ファッション関係のもの:ジュエリーなど
アート関係のもの
これらのロゴタイプやグラフィックデザインの見出しに適しています。ファミ リーには本文組のできるバリエーションも用意してあります。また詩を組むこ とも効果的にできると思います。
※Swash Italic:くるっと巻いたひげのような部分をもつイタリック体
●Pirouetteという書体名はどのような意味ですか?
クラシックバレエやアイススケートで使われる片足だけでくるっと回る技法の ことです。書体のイメージのSwashの回転するイメージと合っていたのでこの 名前にしました。当初は、2つの線で1つの文字ができているという特徴を表す 名前を付けたのですが、西洋ではあまり良いイメージではないとのことで、新 たに10程度の候補を考え、その中からこの名前に決まりました。
●どのような手順で製作を行ったのですか?
今まで書体制作をしたことがなかったので、とりあえず手で書いて仕上げてか らでないとできないなと思い、最初の段階で結構きちんと書きました。スケッ チの段階にかけた時間は長かったですね。昨年3月にコンテストのことを知っ て10月くらいまでは、ずっとスケッチでした。そしていくつかのバリエーショ ンを模索しながらスケッチしていたものが、急にまとまったのは、7月21日の 深夜でした。
その後、スキャンをしてIllustratorでトレースし、修正を加えて、 Fontographerを使っての作業に移ったのは12月のことでした。
●制作中に大変だったこと、楽しかったことなどを教えてください。
スケッチは楽しかったのですが、スキャナで取り込んでアウトラインを取って いるときは辛(つら)くて辛くて。よくみんなこんなことやってるなぁって思 いました。一日中ベジェ曲線と格闘していたときなどは日常の仕事と同じじゃ ないかとも思いました。マウスでの作業にはあまり充実感を感じませんでし た。
普段はパッケージなど、デザインの最終的な対象を感じられる中で仕事をして いるので、誰が使うのかという実感があるのですが、書体を作るときは誰に対 して作っているのか分からなかったのです。自分は作りたい、使うかもしれな いけれど、それを誰が何のために購入するのかわからなくて、真っ暗闇の中で 一人でやっている感じでした。1文字1文字作っても実感が伴わなかったところ が辛かったことかもしれません。
書体のデザインがある程度こなれてから、デザイナーとしてこの書体を使うな らどうするかということを考えてサンプルを作ったのですが、この作業はおも しろかったです。
●この書体の販売予定はありますか?
ライノタイプライブラリ社のウェブサイトから購入できます。
・Pirouette Font Family
http://www.linotype.com/91918/pirouette-family.html
・Font of the Week(2004-08-14現在)
http://www.linotype.com/7-1418-7/currentfontoftheweek.html?PHPSESSID=e022ae66bfe50107ef057f84268b48b3
●発表の会場であったTypeCon※はどのような感じでしたか?
協賛会員を表すのに、資金提供の大きい方から順に72ポイント会員、48ポイン ト協賛…というような感じで、12ポイントぐらいのところには個人でやってい るような小さいタイプファウンドリーがいっぱいあり、作品をスライドで紹介 していたりしました。日本ではほとんど知られていない小さなところが多かっ たのですが、いい仕事をしているところもあり、刺激になりました。1日目の 夜はオークション、2日目の夜には音楽パーティもあり、全体的にお祭りとい う感じでした。いろんな人に会えるだけでなく、いろんな話を聞けるので、楽 しかったです。自分のカリグラフィの作品集を持っていったのも良かったで す。みんなに見せると、いろんなことを指摘してくれるので、あまりしゃべる ことができなくてもコミュニケーションをすることができました。また、昼休 みに急遽、小林さんとマシュー・カーター氏が書体を公募してそれを2人が見 るというコーナーが開かれ、持参した実験的な書体を見てもらっている日本人 の学生もいました。最終日にはサムナー・ストーン氏の農場へ参加者が招待さ れ、屋外バーベキューパーティをやりました。
※TypeCon 2004:http://www.typecon2004.com/
【文字・書体一般について】
●文字に興味を持たれたのは、いつ頃で何がきっかけだったのですか?
小学校の「かきかた」の時間は好きでしたし、習字の教科書に載っているお手 本の字を鉛筆で同じように書くのも好きで、たくさん書いたのを覚えていま す。筆で書くよりも、レタリングの方に興味があったんだと思います。
●授業のノートにレタリングしていたりとか。
たくさんしていましたね。企業のロゴとか。小学校3年くらいの時に姉のレタ リングの課題をしたことがあるのですが、何でこんな楽しいことを自分でやら ないんだろうと思ったことも覚えています。
●ほかに何かおもしろいエピソードなどありますか?
子供の頃に切手収集をやっていたのですが、ただ集めるだけでなく、集めた切 手を自分でレイアウトして、タイトルを入れて、説明を書いて、専用のアルバ ムに貼るというのが楽しかったですね。小学校5年生の頃から中学時代まで、 はまっていました。切手の作品展に出すためにアルバムリーフのヘッドにロー マン体で“Switzerland”と24枚レタリングすることに、ものすごく燃えた記 憶もあります。切手を集めることよりも、レイアウトすることと文字を書くこ とにはまっていたんです。それから、書体とはちょっと離れてしまいますが、 集めていたのがスイスの切手だったことで、ヨーロッパのモダンなデザインに 多く触れることができたので、その感覚が早い時期から自分の中に入ってきた んだと思います。切手収集をしていなかったらデザイナーにはなっていなかっ たと思います。
●書体をデザインするには、どのような知識や才能が必要でしょうか?
書体デザインをたくさんしていれば答えられると思うのですが、今回の書体が 初めてなので、一般論としてお話しすることはできないと思います。ただ、書 体デザインをするまでには、活字にさわることやカリグラフィのような基礎的 なことはやっておいた方がいいだろうと思ってやりました。ヘルマン・ツァッ プ氏の講演のビデオを見たのも大きかったですね。Melior(※)が平ペンを使 って手でそのまま書けてしまうのを見て、カリグラフィをやらなければと思い ました。もし欧文書体のデザインをするなら、活字をさわることとカリグラフ ィは最低条件なのではないかと思います。
※Melior:ヘルマン・ツァップ氏の代表的な書体の一つ。詳細は以下。
http://www.linotype.com/1222/melior-family.html
●影響を受けた書体デザイナー等を教えてください。
ヘルマン・ツァップ氏ですね。それと、今回受賞した書体に関してではないの ですが、ツァップ氏の奥さんのグドルンさんがカリグラフィから本文書体を作 る過程というのも参考になりましたし、影響を受けました。
http://www.linotype.com/7-645-7/hermannzapf.html
http://www.linotype.com/7-647-7/gudrunzapfvonhesse.html
あと、もう一人はやはり小林章氏※、それから書体デザイナーではありません が、欧文活版印刷で有名な嘉瑞工房※から多くのことを学ばせてもらいまし た。
10年くらい前から、欧文タイポグラフィーの話が聞きたくて嘉瑞工房に通いつ めたのですが、小林さんは私よりさらに前から通っていたようです。嘉瑞工房 の高岡重蔵氏と小林さんが話しているのをいつも横で聞いていたわけですが、 話のレベルが高すぎて最初は何を話しているのかわからなかった。それが長く 通っているうちに少しずつ話がわかるようになっていきました。小林さんは自 分が作った書体を持ってきて重蔵氏、現社長の昌生氏に見せて意見を聞くこと もあって、それを横で見せてもらっていました。小林さんの書体、Woodland、 Clliford、Conrad など、発表される前の制作段階から見ることができた、こ れは大きかったです。
今回のコンテストでは、小林さんが審査員だったため、事前に私の書体を小林 さんに見せるわけにはいかなかったのですが、小林さん同様、嘉瑞工房に見て もらって意見を伺ったりしました。
※嘉瑞工房
http://www.kazuipress.com/
※小林章氏
http://www.linotype.com/7-469-7-12316/fontdesignerakirakobayashi.html
●書体デザインをする際に心がけていることはありますか?
読みやすさを大事にしています。カリグラフィの時も同じですが、独りよがり にならないようにと思っています。書体デザインをするときのテーマみたいな ものとしては、高品質な機械部品ではなく、植物の栽培のような感じで、とい うのを意識しています。いかに機械部品のようでなくするかという作業はやっ ていておもしろいことの一つです。
【将来について】
●今後どのような書体をデザインする予定ですか?
本文用のローマン体のアイデアがあるのでこれを作る予定です。早く出さない と他の人がやるんじゃないかと思って気が気ではない状態です。
●日本語の書体をデザインすることについては?
今は欧文書体が楽しいですし、アイデアもたくさんあるので、それが一通り終 わるまで日本語書体は遠くに置いておきたいと考えています。興味はあるけれ ども、やり始めたら恐らくそれで一生が終わってしまうと思うので。
●立野さんにとって書体とは?
パブリックなものですね。自分の日記用の書体でもない限り、第三者のための ものだと思うんです。つまり読んでもらうためのものですね。基本的には自分 のものではないというのが僕の考えです。いわゆる作家活動とは別のベクトル にあるものだとも思っています。文字を大切にする姿勢を常に大切にしたいと 思っています。
次回作の本文用ローマン体も楽しみにしています。今日はありがとうございました。
■立野竜一(たてのりゅういち)氏 略歴 e-mail: r-tateno@tb4.so-net.ne.jp
1964年 金沢市生まれ
1986年 筑波大学視覚伝達デザインコース卒業
1986年〜1993年 GK Graphics 勤務。主にパッケージデザインの仕事に携わる
1994年 フリーランスのグラフィックデザイナーとして独立。以前から興味を持っていたタイポグラフィーの勉強を始める。嘉瑞工房と出会い、以後通いつめるとともに、ここで欧文書体デザイナー小林章氏とも知り合う。
1996年 ヘルマン・ツァップ氏のカリグラフィーの16mmフィルムを見て衝撃を受け、独学でカリグラフィーを始める。
1997年 嘉瑞工房の高岡昌生氏、小林章氏と共にイギリス、ドイツを旅行。ドイツではヘルマン・ツァップ氏宅を訪問し、自分のカリグラフィー作品にアドバイスしてもらう
1998年 凸版印刷 印刷博物館のインストラクターになり、嘉瑞工房から活版印刷の実習指導を受ける(2001年まで)
2000年 MG西欧カリグラフィスクールに入学
2002年 国際書道連盟の展示会にて佳作入選。Private Press “Evergreen press” を開設
2003年 欧文書体デザインをスタート
2004年 国際書道連盟の展示会にて秀作入選
ライノタイプライブラリ社の立野氏紹介ページ
http://www.linotype.com/7-2179-7/ryuichitateno.html
■主な仕事
パッケージデザイン、パンフレット、リーフレットデザイン、VIデザイン、ロゴタイプ、シンボルマーク、カリグラフィー、HPデザイン、イラストレーション等広告以外のグラフィックデザイン全般
■聞き手
小澤 裕(おざわ ゆたか) e-mail: yozawa@air.linkclub.or.jp
1971年 東京生まれ埼玉育ち
1990年 埼玉県立新座総合技術高等学校情報技術科卒業
1996年 千葉大学文学部文学科卒業
1997年〜2002年までアドビシステムズでタイプデザイナーとして勤務。
1997年(英レディング)、1998年(仏リヨン)のATypIに参加。
2003年よりMG西欧カリグラフィスクールでカリグラフィを勉強中。
映画字幕用に描き起こされる文字は、映画文字・シネマ文字・映書体・スクリーン体…などと呼ばれているようです。
専門職の方が描いた文字は、映画用35ミリサイズのフィルム上に配置するため、1文字1ミリ以下のサイズに縮小されて使われます。とても小さいですね。顕微鏡で検査するそうです。
字画の再現性を高めるため、文字の横線の数は何本まで(6本か)…と決められていたようで、画数の多い文字は大胆に省略した字体にするしかありません。
また、初期の字幕制作は、映画フィルムに文字の形の凸版を直接押しつけ、画像に穴を空ける(透明にする)方式だったため、「口」などの文字の線で囲まれた内側部分は、抜け落ちて「■」こういう状態になってしまうそうです。それを避けるために、文字線画の一部分を切り離す(その部分は空気穴と呼ばれる)ことが必要とされました。
1文字の中で使える字画の本数制限や、画線で囲まれた部分を作ってはいけない…という制約の中で、あの独特の骨格や略字体が生み出され、しだいに字幕用書体のスタイルが確立されていったのだと思います。
現在では字幕制作方式が進歩したため、空気穴の必要も字画本数制限も無くなり、どんな書体でも字幕にすることが可能になったようです。細めの丸ゴシック書体なども、ずいぶん使われていますよね。
以下に、字幕文字を描いている専門家・学べる場所・字幕制作の工程・歴史や背景・無料の字幕風フォント…などの情報を集めてみました。
字幕文字の、奥深い独特な世界を存分に楽しんでください。
●佐藤英夫さん・武さん
リンククラブ ニュースレター2003年03月号 人間と芸術
http://info.linkclub.or.jp/nl/2003_03/art.html
●『じまく屋』鏡古
橋本鏡古さん 自己紹介
http://www.in-tel.co.jp/inpaku/jimakuya/kyoko1.html
朝日新聞で紹介された記事が興味深い
http://www.in-tel.co.jp/jimakuya/
●シネマ文字を書こう
「池袋コミュニティカレッジ」 講師 渋谷展子さん
http://college.e-doc.co.jp/ikepri/files/200404/homepage/public/hp/20040413050.html
●映画と字幕 日本シネアーツ社
かなり詳しく丁寧に説明されています
http://www.cinearts.co.jp/page04.html
●ぷらすあるふあ
無料の字幕風フォント「あるしねま・あるしねま-G・ぜっとしねま」
http://www.soho-net.ne.jp/~alpha/
●Chiphead
無料の字幕風フォント「しねきゃぷしょん」
http://chiphead.jp/
●放射16号
無料の字幕風フォント「てあとる16」
http://www.ee.e-mansion.com/~t-wtnb/
・川上さんのオリジナルフォント
http://www.type-labo.jp/GIF.IMAGE/HKfonts.gif
http://www.type-labo.jp/GIF.IMAGE/Hiromina03.gif
●川上さんのフォントが、海外の会社から販売された、きっかけは何だったのでしょうか
欧文書体の見本帳を眺めていて、フォントとサンプルのところにそれぞれの作者の名前が表示されてました。
それを見て、かっこいいなぁと、自分もこんな風に名前表記してもらえるような立場になれたらなぁ・・・と漠然と思ったものでした。1996年頃です。
このあたりから僕の文字作りが本格的に始まりました。
未完成に近い自作フォントを海外数社に送ってみたりもしましたが(俗に言う売り込みです)、いい返事はもらえませんでした。でも、文字制作は楽しくて没頭していきました。
2000年春、イギリスのレトラセットというタイプ会社に僕のデザインした欧文作品を数点送りました。
Colin Brignall(欧文の世界ではちょっと知られた人です)というレトラのデザイナー兼ディレクターが、その中の1つを気に入ってくれたようで、返信メールが届きました。
驚きましたけどね、まさかって。ものすごく嬉しかったですね。でも、かなり修正の指示があり、いくつかの文字を直しました。
その後、契約・販売ということになりました。Dreams Come True・・・。
●それ以前から書体デザインに興味を持っていましたか
1990年にデザインしたロゴタイプを展開して1セットの欧文フォントを作ったのが始まりでした。
ロゴタイプ、シンボルマーク制作は好きでしたが、書体を作る・・・なんてことはそれまで考えてもみませんでしたねぇ。
で、そのフォントが幸運にも90年のM賞奨励賞をいただいて、「タイプフェイス」という世界を知りました。
●現在いくつの会社と契約し、いくつのフォントが販売されていますか
3社と契約しています。書体数は17書体。
4月27日にいちばん新しいものがリリースされる予定です。(それを含めて17書体)
●それぞれのフォントを、どんなコンセプトでデザインされたのでしょうか
特に深いコンセプトはありません。僕の日常生活の中で思い描き生まれてきたものです。
一時期、フォント名に日本的な名前をつけるということに固執していたこともありました。
あけぼの、まがたま、ばさら、たかさご、ことほぎ、まほろば、ゆうぶえ、etc・・・。
なにげなく、さりげなく、ひっそりと存在していて、けれど一目で僕のフォントであるとわかるような文字でありたいと思います。そんな文字や記号を作りたいと思っています。
願望。難しい。街角のパン屋さんのような存在でありたいな、と。いろいろな種類のパンというフォント。
●ひとつの書体の制作に、どのくらいの時間がかかりましたか
2ヵ月から6ヵ月でしょうか。欧文は1週間もあれば作れるよ・・・なんて言う人がいますが、アホかいなって思いますねぇ。そんな簡単なものじゃないですよ。
で、いつも思っているのですが、書体制作っていうのは終わりがないってことです。エンドレス。
なにかふと、ふいに数ヶ月前に作った文字のある部分が気になってきたりして直し始めたりすると、ほかの部分まで関連してきて、結局1セットすべて修正したりして・・・。
これって結局、制作基本コンセプトがいかにいい加減か・・・ってことですよね。
欧文制作は陸上競技に例えるならば、僕の感覚では、5000m走とか10000m走、もしくはハーフマラソン。
和文制作は、42.195kmフルマラソン、あるいはトライアスロン競技。
欧文を軽んじているわけではないですよ、決して。あえていえば絶対的な量の問題でしょうか。
●デザインするときの手順、使用しているソフトなどを簡単に教えて下さい
▼ぼんやりと(欧文)書体のイメージが浮かぶ。
▼いくつかの文字を思いつくままにメモ的にスケッチ。(サムネール)
▼Adobe Illustrator 5.5J で作成します。8.0も9.0も10も購入していますが、シンプルな機能の5.5が大好きでずっと使っています。
僕は Illustrator 上に直接描いていきます。スキャニングはほとんどしません。
基本的に図形としての展開で作成していくので、(ハンドライティングは苦手=稚拙な文字しか書けないから)Xハイト、アセンダー、ディセンダーを設定して、文字のフォルムを数字から割り出して構築していきます。工業製品の図面を描くような感じです。
この部分はかなり神経質に取り組んでます。頭がふらっとするくらい。
▼とりあえず総ての文字種ができあがる。数にして250文字前後。
▼1文字ずつ、Fontgrapher4.1J のそれぞれの文字スロットへ入れていく。
Illustrator から Fontgrapher へ、コピー、ペーストしていくわけです。
▼250文字それぞれの場所にそれぞれの文字が入る。
▼Fontgrapher4.1J で、フォント化する。
ここで単なる図形から文字としてキーボードを打つと入力出来るように変身させるわけです。
▼とりあえず出来たフォントを試しに使ってみる。車の試乗会のようなもの。
細部をチェック、気が付いた部分を修正など、何度もくりかえして、いちおう気分的には完成ということに。ほっとする瞬間・・・まで約2ヵ月から6ヵ月。
***Fontgrapher で、フォント化する前に、厳密な作業工程として「カーニングデータ」を作ります。
僕の場合、カーニングデータまで作成した欧文フォントは6書体ほどです。
僕にとっては文字作り以上に辛いハードな作業です。単調作業ではありますが、かなり重要。作成するデータ量が息が詰まるほどありますからね。
メジャーなタイプファウンドリーではカーニングデータは作成してくれます。
中途半端なデータを作るくらいならプロに任せるのがベストだと思ってます。
●制作中・海外の会社と交渉中に、悩んだこと、難しかったことなど教えて いただけますか
なんといっても、言葉ですね。僕は欧文のフォルムは大好きなんですが、語学はまったくだめで、そんな僕がよくこうやって海外とのやりとりができているなと不思議です。
最初の頃は、友人知人に頼りっぱなしで、翻訳をしてもらいました。現在もほとんど進歩はしてないのですが、人間って生物は「慣れる」という特技が潜在的にあるようで、ま、なんとかごまかしながら適当にやっています。
・・・先方も、こいつは英語はだめなんだなってわかっているはずですからね。
また、電子メールってものが出現して提出とか交渉は格段にスピード化されましたね。
以前は郵送で1週間から10日、返信はそれからまた1〜2週間後っていう感じでしたからね。
あと、欧文制作といっても大文字・小文字52文字だけを作ればいいというわけでもなく、数字、分数、約物だとか発音記号であるとか、普段は日本人が使わないような文字種まで作成しなければならないわけです。馴染みのないものはよくわかりませんねぇ。
●反応はどうですか そしてご自分の心の内は…
反応=売れ行き。僕が理想として思い描いたものとは少々異なり、あまり芳しくありません。
しかし僅かながらも、僕のフォントを購入してくれた見知らぬ国の見知らぬ人、どんな人たちなんだろう、そしてどんな風に使ってくれているんだろう、僕のこの部屋で生まれた文字たちが、どんな所で、どんな表情をしてるんだろう、・・・と考えると、とても嬉しく切ない、感謝したいような気持ちになります。
文字を作る、文字を売る。ほんとに地味な作業ですよね。でも僕自身はいい気分なんです。好きでやってることですから。そしてこれに収入が比例してくれると言うことはないんですけどね。
●川上さんがデザインしたフォントを購入する場合、どうすればいいですか
以下のサイトでクレジット購入ができます。
http://www.myfonts.com/person/kawakami/hajime/
http://www.p22.com/ihof/listings.html
*Akebono(3書体)、*Basala(1書体)、
*Hiromina03(3書体・ひらがな・カタカナ・欧文)、*Ching Mang(1書体)、
*Rakugaki(3書体・ひらがな・カタカナ・欧文)、*Relax(2書体)、*Vidro(1書体)
http://www.letraset.com/row/default.asp
http://www.letraset.com/row/template1a.asp?catid=60&id=747
*Letraset Magatama(1書体)
http://www.bitstream.com/
http://www.bitstream.com/categories/products/nfc/index.html
*Bitstream Wavy (2004.4.27よりリリース予定, 2書体)
http://www.veer.com/results.asp?image=LFT2353900
●書体デザイン以外には、どんなお仕事をされていますか
グラフィックデザイン全般です。
ロゴマーク、ポスター、パンフレット、編集レイアウト、サインボード、チラシなど主に平面物の制作です。
●自分がデザインした書体以外で、好きな欧文書体は何ですか
特に嫌いな書体はありません。で、特に大好きな書体もないのです。
欧文書体はこれしか使わない、と決めつけずに用途とか内容の雰囲気に合わせてその都度、書体選びをしています(和文もです)。
で、その時使っている書体がその時いちばんの好みの書体になっています。その時々。
●書体をデザインするには、どんな勉強とか才能が必要でしょうか
見たり聞いたり感じたり、ぼんやりしたり、考えたり、悩んだり、心ゆったりと試行錯誤してみたらいいのではないでしょうか。
才能=継続は力なり。好きこそものの上手なれ。
●どうもありがとうございました、これからもがんばってくださいね。
●川上一(かわかみはじめ)さんの略歴
1953年、徳島市生まれ。
インダストリアルデザイナーを2年半ほど経験し
1975年、グラフィックデザインに転向し、
1977年11月から川上一デザイン室を。
1990年国際タイプフェイスコンテスト・モリサワ賞 欧文部門奨励賞。
2001年10月、欧文タイプデザイナー有志のFont Aid September Eleven参加。
活動分野はグラフィックデザイン全般とタイプフェイスデザインです。
メールアドレス ha-jime@xb3.so-net.ne.jp
●そもそもアドビに入社したきっかけは何だったのですか
武蔵野美術大学在籍中にタイポグラフィーに興味を持ちました。
その時の恩師経由で、アドビのフォントチームからのお誘いを受けました。
入社した7年前、そして今に至ってもフォントデザイナーの就職口は狭く、グラフィックデザイナーとして志し始めた頃の転職のお話でしたので、とても悩みましたが「文字に強いデザイナーは強い」と友人のデザイナーにアドバイスされ、それで決心いたしました。
●それ以前から書体デザインに興味を持っていましたか
昔からレタリングは好きでしたが、タイポグラフィーという世界を知ったのは大学に在籍してからのことです。
そして、書体そのものを見よう見まねでデザインしてみたのもこの頃です。
●現在の部署と立場、仕事の内容などを教えてください
エンジニアリングに属した日本語タイポグラフィという部署です。
そこで、新書体の開発や、既存の書体の品質管理、追加のグリフ制作、フォントに関する他部署との関連等の仕事をしています。
●かな書体「りょう」の制作は、いつごろから始まりましたか
たぶん、3年ほど前だと思います。
●どのようなコンセプトでデザインされたのでしょうか
まず、本文用とディスプレイ用に分けて考えました。
本文用は可読性や、小さい印字での文字のつぶれなど考慮し、ディスプレイ用は明朝仮名特有の優美な筆の流れや強弱を強調しました。
全体のイメージとしては、小塚明朝のカバーしていないところ、例えば小説やエッセイなど長文で縦組の場合や、旅行記や食文化に関する記事、古典的な文芸作品などに使えればよいなと思いデザインしました。
● 制作中に悩んだこと、難しかったことなど教えていただけますか
本当に仮名って難しいです!(笑)
いろいろな書家の作品を見たり、何度も筆で書いてみたり。
でも、それを忠実になぞるだけでは筆文字になってしまいます。
明朝仮名独特のルールと言いましょうか、筆ではありえない強弱がないと、逆に自然に見えなかったりするんですよね。
そして組んで初めて分かる表情もありますし、最後まで試行錯誤でした。
実は、ここまで作った書体は「りょう」が初めてなんです・・。
●「りょう」を使いたい場合、どうすれば入手できますか
アドビ製品の、InDesign CS と FontFolio (OTF版) に入っています。
今のところ、フォントのみでの入手は出来ません。
●フォントのみで購入できるようになるといいんですけどね…
ところで「りょう」のゴシックスタイル展開は、考えていますか
考えています。もし、アドビのバンドル書体だけで組版をしようと思ったら、明朝仮名だけでは使いにくいと思いますし。
●ゴシックの「りょう」もリリースされる可能性があるってことですね、期待しましょう!
これまで自分が関わった書体以外で、好きな日本語書体がありますか
やはり写研書体のOKLでしょうか(文末にサンプル情報あり)。
私の中ではまだ雲の上の存在です。実際簡単に使えないし(笑)。
●書体をデザインするには、どんな勉強とか才能が必要でしょうか
まず一度見よう見まねでも、作って組んでみるといいと思います。
私は大学の頃からタイポグラフィに関する勉強をしてきたつもりでしたが「りょう」を作るまで、明朝仮名がこんなに難しいものだとは思ってもみませんでした。
まず作る、難しければ他の書体をどんどん見る、これが一番の勉強だと思います。
才能は・・忍耐力があればいいんじゃないでしょうか(笑)。
これは若干私には欠けていますが。
●忍耐力ですか…やはり(笑)。
きょうは、どうもありがとうございました。
◎西塚涼子さんの略歴
武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 卒業
97年アドビシステムズ入社
第6回モリサワ賞国際タイプフェイスコンテスト和文部門 佳作
第7回モリサワ賞国際タイプフェイスコンテスト和文部門 銀賞
●かな書体「りょう」
http://www.type-labo.jp/GIF.IMAGE/Ryo.gif
●組見本を含んだサンプルPDFは↓こちらにあります
http://www.adobe.co.jp/products/fontfolio/main.html
●アドビシステムズ・サイトでの西塚涼子さんの紹介
http://www.adobe.com/type/typedesign/nishizuka.html
●文章中に登場した「写研書体のOKL」については…
↓このページで「OKL」でキーワード検索すればサンプルが見られます。
http://www.net-dtp.com/outline/search_result.asp?searchtype=keyword
2ヶ月ほどの時が過ぎた1月23日、ふたつのサイトは統合され「和文フォント大図鑑」として生まれ変わったようです。
新しく、『フォント用語事典』『Shopping』『マンガでふぉんと!』などのページも増え、フォントの世界がより身近に感じられる作りになっています。
和文フォント大図鑑というサイト名にふさわしい、1400書体以上の圧倒的な量のフォントサンプル。すべてのページを見るには、たくさんの時間が必要だと思います。休日などに、時間を気にしないでじっくりとサイト内を探索してください。
●和文フォント大図鑑
http://ohkadesign.cool.ne.jp/wabunfont/
●キャパニト無料頒布のページ
http://www.type-labo.jp/Hanpuwaku.html
●キャパニト商品版の購入ページ
http://www.vector.co.jp/swreg/list/vendor/SA008106.html
文字や書体の基礎知識をまとめた、A4サイズ48ページの冊子を、株式会社モリサワが発行した。
内容は以下の6つのテーマで記されている。
・基礎の基礎
・明朝体を知る
・ゴシック体を知る
・その他の書体を知る
・和文と欧文の混植
・表現の幅を拡げる
………………………………………………
この冊子は、書体選びや文字組の基本的な知識と使い方について、
身近にふれ、学んでいただけるよう、書体の歴史や固有の形態、作例など様々な視点からの情報を提供するものです。
印刷物の「使用書体をどう選び、どう使うか」を考えるときに、参考となる基礎知識を盛り込み、第一線で活躍しているデザイナーの実践を紹介しています。
とはいっても、文字に対する考え方や具体的なテクニックは各人各様で、唯一の正解があるわけではなく、そこにまたデザインの面白さがあるのかもしれません。
文字や書体に関する基礎知識を知って、プロの実践をご覧頂ければ、あらゆる印刷物において「いかに文字の効果が大きいか」ということが、きっとお分かりいただけると思います。
以上「文字は語る」扉より抜粋
………………………………………………
この冊子は、モリサワが出展する展示会やイベント、そしてデザインや美術系の教育機関などで配布されているが、関係者以外には入手しずらい。
今回、モリサワ様にお願いして、一般の方でも入手できることにしてもらいました。
入手希望者は、送料として切手400円分を同封し「文字は語る送付希望」そして「送付先の住所」を忘れずに記入して、下記モリサワ様に申し込んでください。
(このサービスは2004年1月末までだそうです)
〒162-0822 東京都新宿区下宮比町2-27
(株)モリサワ 宣伝企画課 まで
また、タイプフェイスデザインとしては珍しく、2003年度グッドデザイン賞にエントリーし、グッドデザイン賞審議委員会賞(2003年受賞件数1,098)を受賞したようだ。
AXISフォント販売専用サイト
https://www.axisfont.com/
2003年度グッドデザイン賞速報ページ
http://www.g-mark.org/winners/sokuhou.html
グッドデザイン賞検索ページ
http://www.g-mark.org/library/
タイプラボは7月27日、日本語TrueTypeフォント「セプテンバーL」の頒布を開始しました(サンプル)。
いままでのタイプラボの頒布フォントと同じように、字数制限された無料版と字数制限の無い商品版が用意されています。
2001年11月に当サイトから頒布開始された「あられ」は、直線のみを使った輪郭表現だったが、「セプテンバーL」の文字輪郭線は短い曲線のみで作られ、ガタガタぶるぶると揺れている。
デジタルフォントの殆どは、拡大してもエッジが滑らかで美しい。高度な数式で計算された無駄のないカーブ。それはそれで文句はないのだが、ツルツルした輪郭は、まるでプラスチック製品のようで、味わいがない。毛筆書体までもがそういう輪郭で作られているのは、ちょっと寂しい気がする。
紙と筆記具の組み合わせや運筆スピードなどで変化する、微妙な文字の形や輪郭。そういうモノを少しでも書体デザインに残したい。大量生産の型から出てくる味気ないモノではなく、たとえばガリ版印刷(知らないか)の文字が伝える、手作りの味わいのようなものが、この書体で少しでも表現できればイイな…と作者は考えている。
この書体デザインの源は、作者である佐藤が若いころに仕事で描いていた、ロットリングペンによるフリーハンド手描き文字だ。その小さな文字を、1998年デジタルフォント用に新たに描き起こし、約5年の歳月を経た今年の夏、フォントを頒布できる状態になった。 ペン習字書体のように気取ったものではなく、読みやすい骨格と親しみやすい雰囲気が特徴の書体だ。
●セプテンバーができるまで
http://www.type-labo.jp/Septdekirumadewaku.html
●セプテンバーL無料頒布
http://www.type-labo.jp/Hanpuseptwaku.html
●商品版の価格と購入
http://www.vector.co.jp/swreg/list/vendor/SA008106.html
前置きが長くなってしまったが、今回紹介する、京円(きょうまどか)と、侍(samurai)の2つのフォントは、そのような稚拙な書体ではない。サンプル画像をちょっと見ただけで、使いたい場面がはっきりとイメージできる。まさに本物の商業書家が作り上げた実用性の高い書体だ。
●侍(samurai)パッケージには、連綿線やはねを多用した切れ味鋭い書体「さむらい」をTrueTypeで。かすれを強調した豪快な書体「侍」を Illustratorファイルで収録してある。原字の書家は中島卜魚氏。
●京円(きょうまどか)パッケージは、京円TrueTypeとは別に、ひらがな・カタカナ部分に太い文字(字母から違う)を組合わせた「京円かな太」のTrueTypeも同梱。さらに 1文字ごとに平均6種の別デザイン文字が Illustratorファイルで収録されている。 墨のにじみを生かした、円やかで上品な京円。原字の書家は小林圓佳氏。
どちらも昨年10月にこのページで紹介した白舟書体の「鯨海酔侯」と同じ、デザイン筆文字シリーズのフォント製品である。