BACK
NUMBER
1997/4/03〜06/26
時代を越えて一閃の光を放ち続ける銀座。その輝き・エスプリを創作本に具象化してみました。さらに視知覚の先鋭・タイトル文字主導により制作された装丁作品のを数々を展示いたします。どうぞ清新あふれる装丁家たちの「価値創造指向」にもとづく作品群をたっぷりご賞覧ください。
Book Scape 9
銀座光芒「精緻な文字の風よ吹け」装丁展
出品者 加藤光太郎 金子裕 河井宣行 川畑博昭会 場 王子ペーパーギャラリー銀座
久保和正 小泉弘 小島トシノブ 志賀紀子
島田拓史 下川雅敏 鈴木堯 徳本弘臣
丸尾靖子 道吉剛 ローテ・リニエ
●フォント自体に詰め組み情報を保有などが今回発表されているが、3番目の機能を利用して、JIS第一・第二水準に含まれない約3000字の文字種の拡張が計画されているのだ。
●字体置き換え機能(JIS83、JIS78、旧字体等)
●種類の違う文字セット、エンコーディングへの対応
今回発売されるモリサワフォントにはこの「拡張CIDフォント」はまだ含まれていないようだが、これが実現すると印刷出版業界での外字の不満がかなり解消され、印刷出版業界でのポストスクリプト化がより一層進むことだろう。
また、いままでのモリサワPSフォントのバグなども今回のCIDフォントで一気に修正したようだし、低解像度用プリンタフォントの解像度制限が、従来の600dpiから1200dpiまでに変更されたそうです。
フォントのバージョンアップや価格、そしてCIDフォントの詳細などはモリサワのページで確認して下さい。
文字アウトラインデータの改訂リスト(必見!)などもPDF (Portable Document Format) 書類で用意されていますので、ぜひAcrobat ReaderをインストールしてPDFを体験してください。私もこの改訂リストを見るために初めてAcrobat Readerを使ったのですが結構奇麗だし、このフォーマットも興味深いですね。
どうせなら、上記の拡張CIDフォント約3000字をアドビかモリサワがPDF書類で公開してくれるとウレシイのですが…
通産省が1999年にJIS第三・四水準として漢字コードを拡張すると発表した…。
内容は、1996/07/25に当ページで報告したものと変わりはなく、公開時期を発表しただけのようですが、アドビ・モリサワ陣営の「拡張CIDフォント」計画を意識した行動かもしれないな…。
この小冊子は平成2年3月に日本規格協会から発行されたもので、A4サイズ54ページの手軽なものです。
●基本用語内容は、上記の10章で構成されており、特に目新しいことは書いていないのですが、フォント関連の用語を確認するのに、これ一冊で足りるので私は重宝しています。
●文字種に関する用語
●字体(漢字)に関する用語
●デザインに関する用語
●書体(和文)に関する用語
●書体(欧文)に関する用語
●編集組版に関する用語
●最近のデジタルフォントに関する用語
●ハードウェアに関する用語
●ソフトウェアに関する用語
新フォント関連用語集(平成5年3月)
発行 日本規格協会 文字フォント開発・普及委員会
価格 4480円(88ページ)
電話 03-3583-8002
となっているそうです、ちょっと価格が高いかな…
この原稿を書きながらインターネットのWWW上で同じような用語集を探したら、結構良いページが見つかりました。
富士通アプリコ(株)フォント・デザインセンターのページ内にある「フォント関連用語集」です。内容・質・量ともに素晴らしく、前述の用語集と併用するのが良いと思います。
現実には、デザイン意識の無い人がいい加減なDTP制作をしていたり、フォント関連の面倒くささで、まだ写植を越えた!とは素直に言えない。そのためDTPを否定する人達もいるのだが、活版から写植に切り替わる時代にも写植を素直に受け入れられない人達が多数いた。その彼らに、書体が弱々しいとか字間が開き過ぎてるとか言われていた写植システムだが、書体が徐々に増え、デザイナーと写植オペレータの工夫や写植機の機能アップなどで、密度のある組み版が可能になり、いつの間にか活版ではできない表現まで写植はできるようになったのだ。
現在のDTPも同じこと。使い慣れた写研の書体が使えない、DTPではデザイナーと写植オペレータの両方の仕事を一人でやらなければならない、などと不満があるようだが、DTP表現の可能性に魅力を感じないのか? 能力のあるデザイナーが本気で取り組めばどんな方式でも良い仕事はできる筈だ。関連デザイナーの皆さんガンバリましょう!
残念ながら写植全盛時代のレベルにはあと一歩のDTPだが、当初から日本の写植より優れていたことが一つある。
それは欧文書体の品質だ。欧文書体は字種ごとに字幅が違う(たとえばIとW)。日本の写植機は全角文字の16分の1を単位としてしか文字幅が設定できなかったので、欧文書体をその幅に合わせてデザイン変更している。そのためオリジナルの欧文とは微妙に違うイメージの組版になっていた。当時は、本格的な欧文印刷物には仕方なく、IBMの欧文専用機や海外の欧文写植機などを利用していた。
しかしDTPでの欧文書体(TimesとかHelveticaとかの)は通常 1000 分の1を単位として文字幅を設定してあるので、日本でもオリジナルに忠実な欧文書体を使用した本格的な欧文組み版が可能になっている。
そんな本格的な欧文の優れたタイポグラフィの展覧会が催されています。
モリサワ・タイポグラフィ・スペース第5回企画展
N.Y.TDC BEST SELECTION展
今年で43回目を数えるN.Y.TDC展には、毎年20数カ国から約2500〜4000点のエントリーがあり、その中からセレクトされた約200〜300点の作品が各国で巡回展示されています。
本企画展では、日本での展示20周年を記念して過去10年間の応募作の中から厳選されたニューヨーク・タイプディレクターズ・クラブの本格的なタイポグラフィ作品をカテゴリー別に4回に分けて手にとって見ることができます。
第1期 6/2→
6/20 ポスター1+カタログ+パンフレット
第2期 6/23→
7/4 ポスター2+書籍
第3期 7/7→
7/18 ポスター3+パッケージ+カレンダー+映像
第4期 7/22→
8/8 ロゴタイプ+シンボルマーク+CI,VI計画
主催 日本タイポグラフィ協会
会場 モリサワ・タイポグラフィ・スペース
〒162東京都新宿区下宮比町2-27モリサワビル1F
TEL
03-3267-1233 FAX
03-3267-1536
会期 1997年6月2日(月)-8月8日(金)
休館 日曜、祝日(土曜日開催)
開館 午前10時〜午後6時 入場無料
交通 JR/地下鉄東西線・有楽町線・南北線
『飯田橋』駅(地下鉄出口B1)より徒歩3分
●感嘆符(エクスクラメーション・マーク)の形
デジタルフォントでは、区点番号0110の感嘆符は通常「!」のように垂直にデザインされていますが、アニト書体ではナナメにデザインしてあります。
欧文書体では垂直にデザインされている感嘆符ですが、日本の活字や写植では両方用意されていてナナメのものも結構使用されていた筈です(今ではテキストがデジタル入稿されることが多いので垂直が優位ですが…)。
そしてDTPの現場でもナナメ形が必要になると、アプリケーション上で苦労してナナメに変形したり、別売りの外字用フォントなどを使用して対処しているようです。
アニト書体では通常(2バイト入力時)はナナメ形、欧文では(1バイト入力時)垂直形、と2種の感嘆符をデザインしてありますので両方を使い分けることができます。
●1バイト英数字類と2バイト英数字類のデザイン統一
市場に出回っているMac用PSフォントの殆どは、約物類や英数字のデザインが2種あり、テキスト入力時に通常日本語入力(2バイト)と欧文プロポーション入力(1バイト)が正しく区別できていないとヒドイ字並びになるのですが、アニトなら問題になりません。
●和文と英数字の大きさ
英数字を大きめにデザインしてありますので、行の並びがきれいに見えます。普通は漢字よりかなり小さくデザインされていますが、アニトでは漢字やかなと同じように見えることを優先しデザインしました。
●カドの内側をラウンド処理していない
ふつう丸ゴシック書体は、画線の末端と角部分を丸くデザインしてありますが、アニトでは角の内側は丸くしていません。角ゴシックと同じデザインです。
この処理によりアニトは、他の丸ゴシック系書体よりも少し硬く、そしてスッキリと感じられる書体になっています。
サンプル(ファミリー)とアニト制作の歩み
アニト-L・
アニト-M・
アニト-レリーフ・
アニト-インライン
●写植文字とデジタル文字を初めて一冊の本で紹介
写植メーカーであるモリサワ、リョービと、デジタル文字のタイプバンク、フォントワークスより、見出し用の全112書体を収録!
●各書体毎に、仮名文字をすべて収録
日本語の文字組みの70パーセントをしめるひらがなとカタカナの形をすべて目で見て確認。書体のイメージがはっきりとつかめます。
●利用者本位のわかりやすい配列
書体メーカー毎に並んだ従来の書体見本帳と違い、明朝体とゴシック体を、それぞれ基本形と応用形の2種類にわけて配列。
●漢字と仮名文字のバランスがわかる縦組みと横組みの実例を用意
という内容の字典です。編者の村上氏は、本文組みよりも見出し組みの仕事の機会が多いため、仮名文字の形がきちんと把握できない従来の見本帳に不満を感じ、この本を企画したそうです。
文字好き人間やグラフィックデザイナーだけでなく、私のような書体デザイナーにとっても貴重な資料になる、このような本の出版には心から感謝したいと思います。
少し残念なのは、写植メーカー・デジタルフォントメーカー各2社の書体しか掲載されていないこと。そして、見出し用のすべての書体が掲載されているわけでなく、編者の嗜好によって(たぶん)選択されたものだけが収録されていることです。
私としては、商品化されているすべての書体を網羅した字典が欲しいのですが…ムズカシイのでしょうね。
また、本文中に書体掲載を拒否したメーカーがあったと記してありますが、そんな考えのメーカーもあるんですね… ○○社からは掲載の許可が貰えませんでした、とはっきり表記してくれた方がスッキリすると思います。
なお、村上氏は「かなとカナの形」シリーズで『明治・大正の木版活字』『大正・昭和の図案文字』『昭和・平成の写植文字』の3冊の発行準備をしているようです。
フォント字典
(写植からデジタルまで かなとカナの形)
編者 村上光延
発行 河出書房新社
価格 3300円
●梵語vamの音訳字として密教文献などに古くから用例がある。歴史的な僧名・寺院名として用例がある。NTT電話帳にも3件の用例がある。
と出処の解説が付きました(すべての文字に解説が付いているわけではありません、見慣れない文字だけ)。
この作業はかなり念入りに行われてはいるのですが、どうしても出処も用例も確認不能の以下の文字があったようです。
挧暃椦槞蟐袮閠駲墸壥彁
これら11個の文字は読み方さえも解からず、誰も必要としていない文字らしいのです。
書体デザインの作業中に、どうしても思うようなデザインにならず、たった1文字のために何日も悩む時がありますが、それが上記のような誰も使わない文字だったりしたら……悲しいですね。
これが現在皆さんが使用しているJIS第一・第二水準漢字の現状です。
漢字オタクには結構喜ばれそうな厚さ25ミリのこの規格書、価格が14420円。私にはちょっと高く感じました。
参考資料として、1文字ごとの主要フォントメーカーの字形差(明朝体)が解かる「各実装字形差一覧表」というものも収録されています。
JIS
X 0208:1997(2バイト情報交換用符号化漢字集合)
14420円
財団法人 日本規格協会 03-3583-8002
●書店で注文することができます。
違法コピーに関しては私のデザインした書体も、デジタルフォント化しソフトウエアとして販売されているので他人事ではありません。正式に購入されたフォント製品の数で私の収入が決まるのですから…。
業界は違いますが、自分の好きなアーティストの音楽をカセットテープとかにダビングして、この人の曲イイよ!なんて人にプレゼントしたりする人がいますが、それでいいのでしょうか?
確かにその曲がもう一人の人間に聞かれはしましたが、その楽曲を作りだした人達には何も還元されません。販売したわけではないから構わないだろうと思っているようですが、これが一番メイワクなのです。
レコード会社は何の収入にもなりませんよね。売れるはずのCD1枚分損したわけです。売り上げの少ないアーティストはそのうち新曲を出せなくなったり所属事務所をクビになりますね。本当にファンならそんな行為はやめたほうがいいんじゃないでしょうか?
好きなアーティストのCDをきちんと購入して彼らの収入を増やし、これからも創作活動を続けて良い楽曲を発表して欲しいと思わないのでしょうか?
いまどきCD1枚買えないほど貧乏な人は、いないと思うのだけど…
簡単にできるからといって安易に違法コピーを続けている人は、モノを創るという行為を尊重していないのでしょうね。
最初にリリースされるOpenType
fontは、Hermann
Zapf氏デザインの、MacintoshユーザにはおなじみであるPalatino書体になるらしい('98年初頭予定)。
OpenTypeは、自由にライセンスが可能で、フォント管理の合理化を図れ、よりリッチな書式化を実現でき、統合化されたインターネットパブリッシング環境を含んでいる。ということなのだが日本語環境では具体的にどのような仕様になっていくのだろう?
日本のマイクロソフトとアドビはいままでのところ、特に何も発表していないと思うが、本当に日本語環境でTrueType(Mac用とWin用)とType
1(PS)を統合化できるのか? ユーザがこれ以上混乱することが無いように上手に対応して欲しい。
日本の両社の能力に期待しています!
毛筆の名残を捨てたモダンなデザインのタイポス書体には、ハネがありませんでした。これ以前にもゴシック系の書体で左縦棒にハネの無い「は」は一部存在しましたが、タイポスのブームのおかげで多くの人の目に馴れ親しんでいきました。
このハネ無し縦棒のデザインは、その後のヒット書体「ナール」「ゴナ」などにも継承され、現在モダンなゴシック書体のデザインは、殆どがこのスタイルになっています。私のキャピーやわんぱくでも当然この形になっているのですが、最近モダンなゴシック書体なのにハネがついているデザインの「は」を発見しました。
それはロダンという書体です。ポストスクリプト・フォントを専門に製造しているフォントワークスという会社のゴシック書体なのですが、漢字をみると毛筆の名残はあまり感じられない現代的なデザインなのですが、かなの「は・ほ」などの縦棒にハネがついています。
この書体は発売されてから何度か改訂され現在のデザインになりましたが、最初からハネがついていた記憶があります(ハネの形が違いますが)。
この書体のかな文字には他にも古い骨格を感じさせる文字がいくつかあり、写研のゴナやモリサワの新ゴとはちょっと違う雰囲気を持った、用途の広い面白いゴシック書体に仕上がっています。
それでは書体デザインの世界ではどうなっているのでしょう? さすがに(ノヽノ)という書き順を連想させるものは現在見当たりません。しかし(ニノ)という書き順のなごりはまだ残っているようです。
写植や活字などの毛筆系か明朝系の古い書体の一部に、この字形が存在します。しかし通常パソコン上で使っているフォントで、この(ニノ)字形を見ることは難しいかもしれません。あなたの所有しているフォントをあとで調べて見てください。
明朝体の後に出現したゴシック書体では、殆どこの(ニノ)字形は見られませんが、例外として、古い活字の形をヒントにデザインされた私の「墨東」や味岡伸太郎氏のかな書体などでは、近年制作されたにも拘らず(ニノ)字形が見られます。
このように、文字の形は時代と共に少しづつ変化していきますので、どちらが本当だとか正しいとか極め付けるられものではありません。
この書体は、WALKER、WALKER-UNDER、WALKER-OVER、WALKER-BOTH
の基本4書体とそれらのITALIC書体でファミリー構成されているが、最大の特徴はユーザが自由に字形を変化させ、新しい書体デザインに挑戦できることだ。
書体の作者が、サンセリフの大文字と、自由に取付け可能なセリフなどをデジタルフォントで提供し、使用する側の人間が、それらを組み合わせてタイプし最終的なタイプデザインを決定するのだ。
この新しい書体「WALKER」のデザインコンセプトと構成パーツの紹介、「WALKER」を実際に使った作例などがモリサワのギャラリーで4月9日から展示されています。
会場内には
Macintosh
が用意され、「WALKER
FONT」の面白さが体験できますので、興味のある方はぜひどうぞ。
なぜか私も、この書体を使った作品を出品しています(あまり期待しないで…)。
ウォーカー・アートセンターの新しいCIタイプ
マシュー・カーターとタイプゲーム
●マシュー・カーター
1981年にビットストリーム社を設立した氏のデザインした主な書体は、スネル・ラウンドハンド、ベル・センテニアル、チャーター、ギャリアード、マンティニア、エレファント、ソフィアと多岐にわたる。
現在は
Carter
& Cone
Type
Inc.
というたった二人だけのタイプデザイン会社をつくり活動している。
出品=佐藤豊 平野甲賀 鈴木守 杉本浩 新島実
4月10日より5月23日(日・祝日は休館)
AM
10:00
〜 PM
6:00
モリサワ・タイポグラフィ・スペース
新宿区下宮比町2-27モリサワビル1F
TEL.
03-3267-1233
開館時間と休館日が以前と変わり、
ふだん出品している、サンプルデザインを提出するだけのコンテストなどと違い、制作スタッフの人数とかデジタルデータのフォーマットや開発環境、実制作のスケジュールだとかも審査の対象になるし、制作期間や予算などもきっちり決められているシビアなコンペだった。
参加するには文章組のサンプルなども色々作らなければならず、その頃は現在のようなDTPソフトや高品位なプリンタも販売されていなかったので、写植文字盤を特注して写植機で文字を組むことにしたのだが、デザインに関係ない書類もたくさん用意しなければならなかったり、写植文字盤の外注制作にかかる時間を計算すると、実質の書体デザインには充分な時間がなかった…そこで私が書体デザインの仕様書を作り、原字の制作は仕事の早い友人のK氏に依頼した。
私が制作したそのゴシック書体に添付した当時のデザイン説明には、以下のように記してある(すでに明朝体のコンペが2ヶ月先行して進んでいた)。
見出しにも本文にも使用できるゴシック書体、そして先に決定した明朝体との調和、という難しい制約ではあるが、私達はゴシック書体の本来の目的どおりに、同時に使用する同サイズの明朝体よりは、黒く・強く感じられるようにこの書体の太さを決定した。審査は、全ての応募書体資料を見たあと、数十の開発会員会社の担当者により、投票が行われ決定する。
また、デジタルフォントとして最初の標準基本書体ということを踏まえ、あえて目新しいデザインをせずに、できるだけクセを無くし、誰でもが、どんな文章にも安心して使える、現代的な骨格を持った書体にデザインした。