Lotus Eden
(本格的欧文書体)ウェイト10種

1987年に、第2回モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテストの欧文部門で2位となった「Lotus medium」 を、10ウェイトの「Lotus Eden」として完成させた(フォントデザイン:佐賀野 宇宙)。

・グリフ数 639(Mac OS Roman、Windows-1252、Adobe Latin 3をカバー)
・ヨーロッパ主要32言語以上に対応
アフリカーンス語、バスク語、ブルトン語、カタロニア語、デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ゲール語、ドイツ語、アイスランド語、インドネシア語、アイルランド語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、サミ語、スペイン語、スワヒリ語、スウェーデン語。クロアチア語、チェコ語、エストニア語、ハンガリー語、ラトビア語、リトアニア語、ポーランド語、ルーマニア語、セルビア語、スロベニア語、トルコ語など。
・OpenTypeフィーチャー
スモールキャップ、オールドスタイル数字、大文字用字形、分数表示、化学用上付き下付き数字に対応。

1987  第2回モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテスト 欧文部門2位受賞
2022 10ウェイト20スタイルの、Lotus Edenファミリーが完成し発売(サンプルPDF
 

無料のお試し用フォントとして、フルスペックのMedium/Medium Italicを提供

2023 Lotus EdenファミリーすべてをAdobe Fontsに提供
Lotus Eden バリアブルフォントを発売


 
Monopi
(等幅欧文書体)Regular, Bold, Italic

プログラム・リストを組むための等幅欧文書体です。
プログラムを表記・印刷する等幅欧文フォントには不満が色々あるらしく、出版社からもっとイイものを作ってくれと依頼がありました。
プログラム中に日本語が混植されても不自然にならない「太さ・大きさ・位置」を追及しました(サンプル参照)。もちろんオリジナリティも。
以後、この会社から発行される出版物のプログラム表記は、この書体に切り替わっていく予定だった(今どうなっているのか知らない)。

1998  株式会社インプレスへ、PSフォントをライセンス(初出 Visual J++6.0入門)
2021 数字のゼロをリメイクし、TrueTypeフォントとして発売
MonopiN Regular/Italic/Bold)
総合書体ルイカと組み合わせて発売(モノピン 標準/太字)
2022 Adobe Fontsに、モノピン2種を提供



第2回モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテスト*
1987年 欧文部門 2位書体* Lotus medium

Paper Clipが簡単に商品化されたので、次は本文にも使える本格的なものを目指した。
1982年頃から「GALAXY」という書体名でデザインを始め、アメリカ、イギリスの会社にプレゼンをするが採用されず、その間に大幅なデザイン変更を5、6回していた。
この書体をどうしても諦め切れず、名称をLotusに変えて写植文字盤を作りテスト印字を繰り返し完成度を上げた
この頃はアナログで制作している時代。ペンや筆を使って紙にインクや墨で文字を描いていた。(受賞記事画像

出品時の制作意図
漢字文化の国日本で生まれ育ち、アルファベット系言語が殆どわからない私に、視覚的感覚だけでアルファベット(ラテン文字)のデザインが出来るのだろうか? 
モノマネでなく、本当のオリジナリティと品質を表現できただろうか?

・選評
世界のプロフェッショナルの応募の中から日本の作家が入賞を果たした。特に欧文のボディタイプは組み版上の可読性と視覚性が問われる中で、そのオリジナリティが評価されたのは特筆されよう。
レタースペース(字間)やワードスペース(語間)の処理が良いリズムを作り、またモダーンなサンセリフでありながら、手書のやわらかいストロークがカーブに生きた美しい作品になった。

・Henry Steiner 氏の選評より抜粋
第2位のサンセリフの作品はクラシズム的な雰囲気がありながら、非常に新鮮なものを感じさせました。

………………………
・不確かな情報だが、アドリアン・フルティガー氏はこの書体を1位に推してくれたらしい。
その後デジタルフォント化を始めたが、私の興味が和文書体の制作に移り、こちらは中断したままになっているが…。
2022年、佐賀野宇宙氏の協力により10ウェイトの「Lotus Eden」として完成した。



第8回 石井賞*創作タイプフェイスコンテスト
1984年 約物部門 佳作

出品時の制作意図
甲骨文字やエジプトの象形文字などから感じる、あの楽しさやおおらかな雰囲気を現代の文字組版に再現するための絵文字約物を提案します。
規定の約物と線描きの絵を、どんな書体にも調和する様にドットで表現しました。
絵文字約物は実際には百個以上あると楽しいでしょう。

・使い方
(1) 絵文字約物を文章の頭などに●■◎の替りに使う。
(2) 絵文字約物を文章の内容や感情表現にあわせて?!()「」などの替りに使う。
(3) 絵文字約物を従来のすべての約物の替りに、文書中にランダムにぶちこみ従来の文字組版のイメージを破壊する。

………………………
簡易文字盤を作成して実際に文中に使った例を作って検討もした。
このドットはスプリングコンパスを使って1個ずつ描いた。ぐるりと1周する図形の始点と終点を合わせるのに苦労した…(手書きした原図)。

●2024年、このページの1984に画像と共に掲載された。



Paper Clip

結婚する友人にプレゼントするためにデザインしたロゴマークが原点の、ゼムクリップをモチーフにした見出し用の書体
コンパスと烏口で、この図形を描くのは想像以上に大変。小文字を作るエネルギーは無かったな…。
日本の写植機会社では、とても採用されないと思い、最初からアメリカの有名な会社にプレゼンしたら一発で採用してくれた。(発売時に現地で配布されたリーフレット

この書体で、はじめて販売会社とロイヤリティ契約をした。
神田にあった翻訳事務所に何度も通って、相手の言うとおりにならず自分の主張も認めさせる契約書を完成させた。
この仕事を通じて契約の重要性が判り、その後いろいろと役にたった。
フォント使用料は3ヶ月毎に海外銀行の小切手が送られてきた。ごく少額のそれを換金する手数料と手間が大変だった。
発売後数年で、ネガフィルムを使った(商品画像)写植機の時代が終わり、総額10万円ほどの収入にしかならなかった…。

1982 VGC(U.S.A.)から写植用フィルム発売
1984  日本タイポグラフィ年鑑*入選
1993  誰かが無断でTrueType Font化しフリーウエアにしてしまったので、
GROUPWARE社(U.S.A.)のCD-ROM「SUPER FONTS」に収録されている(最悪!)。



写真植字機の機能を利用した文字のデザイン

一般に文字をデザインするときは、コンパス、定規などを使って描きますが、写真植字機の機能をうまく利用して文字を描くこともできるのではないかと考えました。

●基本図形10種を制作。四角の枠は全角を表わします(図A)。
●10種の図形の方向を変えて計28個の図形を収容した文字盤を制作(図B)。
●1文字のデザインに、タテ・ヨコ3角分ずつ使用する。20級のレンズを使用して印字すれば、60級(15mm) の大きさの文字が、できあがります(図C)。

ここに発表したものは、28個の字母(図母?)だけですが、私の制作した基本例以外にも多数の文字がデザインできます。
●変形レンズの使用により平体1〜3、長体1〜3の変形が、得られます。
●印字図形の変更により多数の字形が、得られます(図D)。
●その他、拡大レンズの使用により文字の大小、また現在の円弧の図形Enko.gifKagi.gifのように変更すれば、全く異なったイメージの文字が表現できます。
現在の28個の図形だけでもこれだけ変化に富んだ文字がデザインできますが、写植文字盤のサブプレート1枚分、約270個の図形を制作すれば、文字のバランスなども、もっと微妙なものも表現できるようになり、たくさんの変化もつけられるようになるでしょう。

●以上のことから、実際の文字デザイン以外にも、レタリング教育などには最適だと思うし、このような考え方を基本にした企業制定書体があっても良いと思う。また、このシステムを工夫すれば、新しい電光表示などにも可能性があると思います。

●私が制作した、ごく基本的な1例です(図E)。
●下が印字図解です。ベタ組を基本に設定し、アミの部分は半角の移動印字がしてあります。また異なる図形を二重印字した部分もあります。

・当時の勤務先に写植機があり、文字盤を自作して色々と実験的なことをやっていた。

1982  日本タイポグラフィ年鑑*入選(B全サイズのオフセット印刷ポスターで出品)



「写植用地紋コンテスト」最多入選
 この地紋の権利は(株)写研が保有しています。

1978年に(株)写研*が催した、このコンテストには41点出品し21点が入選(賞金は1点2000円)。
17点が、1979年に文字盤(BA-G、BA-H)として商品化されました。
写植の限界に挑戦した面白いもの(グラデーション表現とか)も出品したのですが、それらは日の目を見ませんでした(残念)。



Noodle

日本では結構人気のある丸ゴシック系の書体が、なぜか欧文書体には少ないので挑戦したものです。
ヌードルの意味には、「干しうどん」の他に「バカ」「アホウ」などもあるようですが…

1975  日美スタジオ紙上展*レタリングB部門金賞(記事)



Happy(かな書体のハッピーとは別)

タイプフェイス・デザインの研究を始めた頃の習作。
どこにも発表・公開されていない作品ですが、初めてひと揃いの書体を完成させた、私にとっての記念碑的書体です。

1970ごろ  小さなコンテスト用に描いたTOKYOというレタリング作品が原点。

 

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